追記

撮影:ClariceM
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BGM 2● MACK THE KNIFE(M0RITAT)
(作詞者ベルトルト・ブレヒト自身の歌唱)

Vol.1のレポートでもふれたが、PANTAがジャズを歌う企画は、もちろんこの企画から始まったわけではなく、そもそもは90年代に、PANTAの義兄であり、トロンボーン奏者として活躍されていた故・板谷博氏が、自らのイヴェントにゲスト出演を依頼したことに端を発している。

PANTAはそのイヴェントに「人寄せPANTA」として呼ばれた、と冗談めかして言っているが、ジャズのフィールドの第一線で活躍し、理論家としても鳴らした板谷氏が、無論それだけの理由で依頼したとは思えない。

板谷氏がその時PANTAに望んだのは「レイ・チャールズからホーギー・カーマイケルまで、数々の珠玉の名曲の数々」だったそうだ。「歌」の王道とも言うべきそうしたスタンダード・ジャズを歌うというディレクションは、ジャズを歌う上で想定される技術上の問題を埒外に置けるほどに、先ほどナット・キング・コールに比して書いたような、PANTAのヴォーカリストとしての類い稀なる資質を見抜いてのことだったのは間違いあるまい。

当方は90年代にはPANTAと会う機会はほとんどなかったこともあり、PANTAとジャズとのそうした関わりを知ったのは、はるか遅れて04年、PANTA&HAL BOXブックレットのインタヴューを終えて雑談をしているときだった。

「過激な歌詞」とか「反体制のロック」とかの話ばかりで、ヴォーカリストとしてのPANTAへの評価がなさすぎる、という話題をふったら、PANTAから「オレ、ジャズ歌ったことあるんだよ」という話が返ってきて初めて知ったわけだが、人一倍のものがあると思っていた私のその時のPANTAへの「ヴォーカリストとしての評価」は、しかし正直言ってジャズと結びつけるような射程は持っていなかった。

今回のイヴェントを終えて、板谷氏が、ロックのフィールドなど越え出るより普遍的なヴォーカリストとしての魅力をPANTAに見ていた、その慧眼に今さらながら敬服するとともに、氏の慧眼がなければこの「Not PANTA Cole」の企画もなかったろうと、改めて思い至った次第である。

それにしても、PANTAがメル・トーメを歌ったと聞いたら、板谷さんはどんな反応をされただろうか・・・。それをうかがえないのが、何とも残念でならない。

MOVIE

「夢見る頃を過ぎても」

‘Not PANTA Cole Show 2’
with 伊藤純平(Ds)
藤田義治(G) 若林美佐(B)
酒井順子(P) 松元啓介(Sax)

2ND SET

「さようなら世界夫人よ〜
コミック雑誌なんか要らない」

‘Not PANTA Cole Show 2’
with 伊藤純平(Ds)
藤田義治(G) 酒井順子(P)
 松元啓介(Sax) フジタヨシコ(B→P)
guest
長沢ヒロ(B,Cho) from 安全バンド

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