2007.6.23
@ 大宮 アコースティックハウス「JAM」

撮影:ClariceM
※UPされている写真の転載・転送はご遠慮ください※

PANTA「この忙しい時に、何でジャズ歌わなきゃならないんだヨッ?!」(笑)

一昨年2月に続いての第2回目を迎えた、「Not PANTA Cole Show Vol.2」のレポートです(この企画の由来などについては、別ページVol.1のレポートをお読みください)。

BGM 1● STARDUST
(作曲者ホーギー・カーマイケル自身の弾き語り)

・・・それにしても、菊池拓己さんとのユニット「響」によるニュー・アルバム「オリーブの樹の下で」の制作、そのリリースに合わせた全国ツアーも始まって超多忙のそのさなか、なぜPANTAがジャズを歌うのか・・・当日のステージで↑見出しのような言葉を発して、この企画のプロデューサーということになっている私を暗になじった(笑)PANTAの気持ちもむべなるかな。

まぁ過密スケジュールだからこそ、この際ひとつライヴが増えたところで大差ないという、言わば火事場泥棒的にOKがもらえた気もするが(笑)、一昨年のVol.1の成功後すでに2年以上の月日が流れ、世の待望実に久しいものがあったのは事実であり・・・そして他ならぬPANTA自身が、スタンダード・ソングを歌うという誘惑に耐えかねて、自らその甘い罠に飛び込んだらしい・・・というのがもっぱらの街の噂です(笑)

さて、とはいえ準備の時間がないことは如何ともしがたく、当日の直前リハを含めわずかに2回のリハーサルで、プロデューサーが決めてしまった以下の曲をまとめあげねばならない強行軍。

1)It’s Only A Paper Moon
2)夢見る頃を過ぎても
3)Stardust
4)酒とバラの日々
5)君住む街角
6)Fly Me To The Moon
7)さようなら世界夫人よ(in Bossa)
8)Mack The Knife

もちろんこれがロック系の曲であれば、7、8曲くらいはさほどの苦労はないだろうが、相手は基本的なイディオムの違うジャズ・ナンバー、おまけに選曲の中には、白人ジャズ・ヴォーカリストの最高峰メル・トーメの、彼の十八番のスキャットまで入った「君住む街角」があったりする。

ただその曲に関していえば、無理難題のスキャットも、「日本語をロックに乗せる」というそれこそ難題中の難題を戦ってきたPANTAなら勝算はあるはず、と踏んでいたし(少々強引だけど/笑)、またPANTAのメル・トーメ好きは並々ならぬものがあるから「好きこそものの上手なれ」で、きっと形になるだろうと読んでいた・・・で、実際予想どおり、いや貴重なリハーサルも当方の仕切りが悪く効率的でなかったことを鑑みれば予想以上に、「君住む街角」はみごとに形になったのだった。

同じようなことは、やはりPANTAが大好きなブレヒト/ワイルのコンビによる作品「Mack The Knife」にも言える。かつて「赤軍兵士の詩」で取り上げたブレヒトによる、街のアウトローをテーマにした歌詞を持つこの曲は、PANTAこそが歌うにふさわしいと選んだ曲だったが、これもまたみごとに我がものとして堂々と歌いきったのだった。

また特にナット・キング・コール・ナンバーで醸し出したような「滋味」こそは、最も特筆すべきものだったと言えるかもしれない。コールの、そのウォームな声自体の魅力、さらにそれを最大限に生かしつつの滋味あふれる圧倒的な「歌心」とも言うべきもの・・・いまだに人々を魅了し続けるコールのそうした特質にシンクロするものが、PANTAのヴォーカルには間違いなく内在している。

Vol.1でも感じられたことではあるが、今回それがいよいよ鮮明になったのは、イヴェント・タイトルにふさわしい素敵なできごとだった。もちろん、前述のようにリハーサル不足であるがゆえ、イヴェント全体としても随所に不足や混乱があったことは否めないものの、それは何よりまず仮にもプロデューサーを名のる者の責任。

次の機会には、もう少しPANTAが歌い込む時間を取れるように、バックのミュージシャンの方々にもリハの進行面でもっと的確にディレクションを出せるようにと、反省しきりの私ですが、では、アンコールで4ビート版「コミック雑誌なんか要らない」も登場した当日の模様をご覧ください。

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